++第二章裏切りのマジェスティ ++第二章裏切りのマジェスティ
++第二章デストニア本陣 ++第二章デストニア本陣
ケイト 元気を出して下さいブレスビィ様。 元気を出して下さいブレスビィ様。
ブレスビィ はああ・・・元気を出せと言われても城を追い出されたこの身じゃ・・・元気の出る訳がなかろうケイト? はああ・・・元気を出せと言われても城を追い出されたこの身じゃ・・・元気の出る訳がなかろうケイト?
ケイト いつも・・・おっしゃってましたわね帝国の上層部は足の引っ張り合いだから自分もいつはめられるかわからないと。 いつも・・・おっしゃってましたわね帝国の上層部は足の引っ張り合いだから自分もいつはめられるかわからないと。
ブレスビィ ・・・牢に入った者や城を去った者などたくさん見てきたが・・・私までがのう。 ・・・牢に入った者や城を去った者などたくさん見てきたが・・・私までがのう。
グラシア 帝国の上層部の権力や勢力の争い・・・想像以上に厳しい戦いのようですね? 帝国の上層部の権力や勢力の争い・・・想像以上に厳しい戦いのようですね?
ドンホート それがデストニアですよグラシア様。 それがデストニアですよグラシア様。
みんな自分のことしか考えぬやからだ野心と疑いの酒をくみ交わし政治を語る・・・国や民衆など存在しないのです。 みんな自分のことしか考えぬやからだ野心と疑いの酒をくみ交わし政治を語る・・・国や民衆など存在しないのです。
ブレスビィ ・・・わかっているさドンホートだがお主のように諦めてしまったら帝国はもはや再生しようもなくなる。 ・・・わかっているさドンホートだがお主のように諦めてしまったら帝国はもはや再生しようもなくなる。
ケイト 諦めないといっても・・・ブレスビィ様帝国の権威を汚す危険人物とされ・・・マジェスティ様にまで見放されましたわ。 諦めないといっても・・・ブレスビィ様帝国の権威を汚す危険人物とされ・・・マジェスティ様にまで見放されましたわ。
ブレスビィ ・・・だから思案をめぐらしているのだどうしたものか・・・どうしたら・・・。 ・・・だから思案をめぐらしているのだどうしたものか・・・どうしたら・・・。
ドンホート そうだブレスビィ殿も・・・デストニアを見放せば良いのだ。 そうだブレスビィ殿も・・・デストニアを見放せば良いのだ。
ブレスビィ デストニアを見放せだあ・・・? デストニアを見放せだあ・・・?
私にお主のようになれと・・・共和国に失望したお主のように? 私にお主のようになれと・・・共和国に失望したお主のように?
ドンホート 私は・・・私の望みのなんたるかを理解していなかったのだと思うのだ。 私は・・・私の望みのなんたるかを理解していなかったのだと思うのだ。
きっと私は人が我欲のみに走る姿・・・それに耐えられず独立に参加したのだ・・・しかし我欲は人のあるべき姿だ。 きっと私は人が我欲のみに走る姿・・・それに耐えられず独立に参加したのだ・・・しかし我欲は人のあるべき姿だ。
確かに理想は強き者が弱き者を守り弱き者は強き者に奉仕する共存・・・しかし我欲が混じれば不可能な理想だ。 確かに理想は強き者が弱き者を守り弱き者は強き者に奉仕する共存・・・しかし我欲が混じれば不可能な理想だ。
グラシア様は俗世の我欲に隔絶されてここにこうして存在される方だ・・・。 グラシア様は俗世の我欲に隔絶されてここにこうして存在される方だ・・・。
私も俗世に隔絶して生きようと決めた俗世に失望した私に残された道・・・それがグラシア様と生きる道なのだ。 私も俗世に隔絶して生きようと決めた俗世に失望した私に残された道・・・それがグラシア様と生きる道なのだ。
ブレスビィ それが・・・お主の答えか・・・? それが・・・お主の答えか・・・?
ドンホート 人々の我欲を肯定するしかないなら我欲までを高みから守護するお方と世界を見つめて行こうと決めたのだ。 人々の我欲を肯定するしかないなら我欲までを高みから守護するお方と世界を見つめて行こうと決めたのだ。
ケイト 死ぬまで・・・そうして・・・生きられるのですかドンホート様。 死ぬまで・・・そうして・・・生きられるのですかドンホート様。
ドンホート それはわからぬケイト・・・だが今は・・・信じて進むのみだブルザムの野望をくじくまでは! それはわからぬケイト・・・だが今は・・・信じて進むのみだブルザムの野望をくじくまでは!
ブレスビィ お主がグラシア様と帝国に戻った真意が・・・やっとわかったぞドンホートそして私の道もまた・・・決まった。 お主がグラシア様と帝国に戻った真意が・・・やっとわかったぞドンホートそして私の道もまた・・・決まった。
私は王子の教育係兼軍師として・・・世直しができるものと信じておりましただがマジェスティ様の態度には失望した。 私は王子の教育係兼軍師として・・・世直しができるものと信じておりましただがマジェスティ様の態度には失望した。
権力を持つ者は権力に支配され・・・権威から逃れられぬことも知らされた。 権力を持つ者は権力に支配され・・・権威から逃れられぬことも知らされた。
自らが危機におちいる世紀末にあっても権力や権威にこだわり続ける俗世にはこのブレスビィ愛想がつき申した。 自らが危機におちいる世紀末にあっても権力や権威にこだわり続ける俗世にはこのブレスビィ愛想がつき申した。
権威も権力もこの世界があってこそ私も・・・この世界の存続のため・・・グラシア様のお力になりたいと存じます。 権威も権力もこの世界があってこそ私も・・・この世界の存続のため・・・グラシア様のお力になりたいと存じます。
ケイト 私もです・・・相変わらずの権力争い帝国に忠誠をつくしているのが・・・何だかバカバカしくなってきました。 私もです・・・相変わらずの権力争い帝国に忠誠をつくしているのが・・・何だかバカバカしくなってきました。
首都の危機はひとまず去っただけです二度とワルキューレが飛来しないため私もグラシア様にお供させて下さい。 首都の危機はひとまず去っただけです二度とワルキューレが飛来しないため私もグラシア様にお供させて下さい。
スカラー やっとその気になってくれてうれしいぞブレスビィ・・・。 やっとその気になってくれてうれしいぞブレスビィ・・・。
ブレスビィ 聞いていたのか・・・スカラー? 聞いていたのか・・・スカラー?
お主の言った通り正義感だけでは・・・デストニア城では生き抜けぬようじゃ。 お主の言った通り正義感だけでは・・・デストニア城では生き抜けぬようじゃ。
スカラー スティール将軍は巧妙だったな・・・デストニア侵略を許した自軍のミスをジュリアン軍への憎悪にすり替えた。 スティール将軍は巧妙だったな・・・デストニア侵略を許した自軍のミスをジュリアン軍への憎悪にすり替えた。
意志力の弱いマジェスティ王子には帝国の威信を振りかざすことこそが何よりも効果的だったと言う訳だ。 意志力の弱いマジェスティ王子には帝国の威信を振りかざすことこそが何よりも効果的だったと言う訳だ。
ブレスビィ お主のことだそんなことをいうためわざわざ顔を出したのではあるまい? お主のことだそんなことをいうためわざわざ顔を出したのではあるまい?
スカラー スティール将軍は自説を正当化するため軍をこの町に動かし始めたようだ・・・。 スティール将軍は自説を正当化するため軍をこの町に動かし始めたようだ・・・。
ドンホート ヤツらの狙いはグラシア様か・・・。 ヤツらの狙いはグラシア様か・・・。
スカラー 皇帝の狙うグラシア様とベセムの杖だ・・・このチャンスを生かす気になり進軍を始めたと考えて間違いない! 皇帝の狙うグラシア様とベセムの杖だ・・・このチャンスを生かす気になり進軍を始めたと考えて間違いない!
ケイト そんな・・・首都を救ったのに・・・恩を仇で返すなんてあんまりです! そんな・・・首都を救ったのに・・・恩を仇で返すなんてあんまりです!
ブレスビィ どうすれば良いかなスカラー・・・すぐにも町を出発すれば間に合うか? どうすれば良いかなスカラー・・・すぐにも町を出発すれば間に合うか?
スカラー 町に進軍してくるスティール軍から逃れる術はあるまいなブレスビィ。 町に進軍してくるスティール軍から逃れる術はあるまいなブレスビィ。
グラシア 今私が捕まる訳にはいきませんしもちろん杖を渡す気もありません・・・何か良い手はありませんか? 今私が捕まる訳にはいきませんしもちろん杖を渡す気もありません・・・何か良い手はありませんか?
スカラー さよう・・・血路を開くにしても・・・ここで時間を費やせば帝国軍に囲まれ逃げ場を失いかねませんなあ・・・。 さよう・・・血路を開くにしても・・・ここで時間を費やせば帝国軍に囲まれ逃げ場を失いかねませんなあ・・・。
少々危険だがあれを使うか・・・。 少々危険だがあれを使うか・・・。
我々が憲兵隊に追いつめられた時にと用意してあった脱出ルートだが・・・。 我々が憲兵隊に追いつめられた時にと用意してあった脱出ルートだが・・・。
ドンホート だが危険だというのですな・・・。 だが危険だというのですな・・・。
スカラー それでもここでスティール軍と戦い帝国軍全軍を呼び寄せるよりもましか? それでもここでスティール軍と戦い帝国軍全軍を呼び寄せるよりもましか?
ブレスビィ どこに行くスカラー・・・我々をどうするつもりだ? どこに行くスカラー・・・我々をどうするつもりだ?
スカラー お主たちの脱出の準備に教会に戻る・・・お主たちも教会に来てくれ! お主たちの脱出の準備に教会に戻る・・・お主たちも教会に来てくれ!
ブレスビィ 帝国軍がグラシア様を捕えに来る前に町を抜け出さねばならぬぞジュリアン補給を整えて教会に向かうのじゃ!第三章「アスピニア上陸 帝国軍がグラシア様を捕えに来る前に町を抜け出さねばならぬぞジュリアン補給を整えて教会に向かうのじゃ!第三章「アスピニア上陸